ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

山へ向かう道で【12-2-1】

ふたりは博士の待っている

山の中腹へ

向かっていた

妙なものって

なんだろうね

さあ

見当もつかないわ

あなた

操作が上手くなったわね

そうかな

何だよいきなり

ペース乱れるなぁ

きみが居ない間

おばあさんを乗せて

ここら辺を

走り回っていたからね

そりゃあ

上手くだってなるさ

暫く無言が続いた後

ダンジョウは口を開いた

神隠しかと思ったよ

本当に心配した

父さんもいま

こんな気持ちなんだろうな

戻って来てくれて

本当によかった

テンムスは

ダンジョウの背中を

ぎゅっと握った

ずびっと

鼻を啜る音がした

泣いているの

違うわよ

風に当てられて

寒いだけ

ふうん

そう

ダンジョウは

来ていた上着

背後を見ずに

テンムスに渡した

風邪をひいたら大変だから

テンムスは

上着を大事そうに

握りしめた

ふたりを乗せた

タツムリバイクは

博士の待つ

山の中腹に着いた


── 一体何があるのだろう、地底帝国の詩。