ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

上の階【7-4-3】

この場所には

階段など存在しなかった

本当に閉じ込められたまま

生活しているのだということを

ダンジョウは実感した

出られるのは月に一回だけだ

この運搬用エレベーターから

上の階へ上がることとなっている

もちろん

見ての通りこのサイズだ

エレベーターの前は大行列さ

ダンジョウは交信を始めると

動かないはずのエレベーターを

無理矢理起動した

みんな乗るんだ

上の階まで

エレベーターはぎこちなく上昇すると

ダンジョウたちを

上の階まで運んだ

ここを開けたら

地図を確認すると

ここは何もない

物置のはずだ

エレベーターのドアを開ける前に

ダンジョウは扉の隙間から

外を覗き込んだ

何かいるぞ

まるで刃物が立っているみたいだ

ダンジョウの言う通り

刃物のような物体が

四体ほど立っていた

忘れ物を取りに行こう

アサツキはそう言って

ダンジョウに

エレベーターを降ろさせた


── 無鉄砲は命取り、地底帝国の詩。