ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

マテリカンの葛藤【7-3-4】

今更何しに来たんだよ

元同僚のマテリカンたちが

ゾニィに詰め寄った

途中だったプロジェクトを投げ出して

あとはおれたちに放り投げて

自分は好き放題やっているのかよ

お前が居なくなって

おれらがどれだけ大変か

分からないだろうな

オレは好き放題やっているかも知れない

けれども

自分たちが何のために

こんな研究をさせられているのか

分かっているのか

オレたちの努力も

すべてコルネの功績なんだぞ

オレたちは完全にヤツの黒子だ

そんな人生楽しいのかよ

そうしないと生活出来ないのだから

仕様がないじゃないか

いいや

こんなことをしなくても

生活することは出来る

お前らはこんな地下の地下深くに

閉じこもって

一生を終えるのかよ

おれは暫くこの地下フロア暮らしだ

地上に出ることなんて

めっきり減ったよ

アサツキは哀愁を漂わせながら

ダンジョウたちに語った

裏の裏は表さ

ダンジョウは得意げに

十円硬貨をピンと弾いた

それは

これはぼくの居た世界の硬貨さ

きみはどこから来たんだい

とてもこの世界のヒトとは

思えないけれど

ぼくは地上から来たんだ

地上

アサツキが怪訝な顔をした

この上の街のことかい

この上の上にある街だね

まさか


── みんなみんな鳥籠のなかの鳥、地底帝国の詩。