ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

科学と心力【4-1-3】

ダンジョウと博士

瀕死のテンムスが

辿り着いたのは

鍾乳洞のような

刺々しい岩々が

張り出している

少し湿った場所だった

ここはさっきとは

違う場所なのか

ダンジョウが呟くと

地底と地上の

境目と言っても

良いかも知れんな

双子は交互に言った

それより早急に

怪我人の手当てを

なんでもこの惑星のなかで

エネルギーが

いちばん流れている

場所のようだ

ダンジョウたちも

ひと通り自己紹介を終えたが

どうやら博士は

双子とは知り合いのようだった

以前見たのは

いつ頃じゃったか

結構前だった気がするが

あまり変わらんな

心力を使いこなせると

こんなにも見た目が

変わらんのか

わしは研究ばかりで

だいぶ老け込んでしまったわい

博士の言う通り

双子はまるで

こどもにしか見えない

外見をしている

実年齢はいくつくらい

なのだろうか

すると向こうから

誰か歩いて来た

兄さん久しぶりじゃな

タヅクリ博士の口からは

思いもよらぬ台詞が

飛び出して来た


── こころは身体を形作る、地底帝国の詩。