ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

経路の作成【6-4-3】

ダンジョウは

床に両手を置くと

そのまま交信を始めた

彼の目には星海が映り込み

周りには不思議な光が

渦巻いていた

その最中

ゾニィは物思いに耽っていた

コルネの言葉なんて

気にしなくても良いわよ

あなたはここに来た時点で

負け犬なんかじゃない

ゾニィはテンムスの言葉を聞いて

寂しそうに笑みを浮かべた

コルネのやつ

鏡の断片は研究棟にあるとか

言っていたよな

ゾニィが思い出したように呟いた

ダンジョウが交信を終えた

この建物

表面に見えている部分は

すべてフェイクだ

だから上の階層を探しても

無駄なんだ

研究棟は下層にある

そしてちょうどぼくたちも

下層にいる

ダンジョウは自らの勾玉を使って

建物の経路を映し出した

こんな使い方も出来るのね

テンムスが感心した

頭の映像を心力に反映させてみたんだ

おい坊ちゃん

こんなことも出来ちゃうのかよ

オレは少し見直したぜ

ゾニィも感心した

そして鏡の断片はここにある

皆は顔を見合わせて

静かにうなづいた


── 奪還作戦決行、地底帝国の詩。