ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

於取調室【13-1-4】

ダンジョウたちは

別々の部屋に

留置された

そしてそれぞれ

取り調べを受けた

だからさぁ

おれはウソなんか

ついていないって

ダンジョウは

机をバンと叩いた

あたしはウソなど

ついていないわ

テンムスもまた

机をバンと叩いた

ワシはウソはついとらん

タヅクリは神妙な顔で

口を開いた

コヴとシャッケイ

ウナージュの

公安警察官たちは

信じ難い顔をしていた

この少年は

地上からやって来て

この少女は

帝国の元女帝

この老人は

ただの研究好きな

高齢者と

帝国を陥落させるために

鏡の断片を集めているときた

まるでおはなしの世界だな

シャッケイが

おちょくった

こらこら

あまりおちょくるでない

嘘から出た真とは

よく言うものだ

コヴが静かに諭した

身柄を引き渡すにしても

とてもじゃないけれど

手に負えませんね

ウナージュは

冷静に状況を判断した

我々はどうやら

パンドラの匣

開けてしまったようだな

コヴはしみじみ語ったが

思いついたように

もし仮に

帝国の支配が

この都市にも及んでいるとしたら

犯罪係数の増加にも

関与しているのではないだろうか

そんなまさか

こんなおとぎ話

信じるんですか

シャッケイはまたしても

おちょくった

警部補の言う通り

確かにそう考えると

辻褄が合うかも知れないわ

おまえなぁ

ふたりの顔は本気だった

分かったよ

じゃあなんだ

こいつらを捜査にでも

協力させるのか

やってみても

バチは当たらんだろう

クビは覚悟だがな

一世一代の大博打だ

イヤなら降りても構わん

わたしはやります

ウナージュはきりっと答えた

おいおい勘弁してくれ

コヴさん

あんたについて来たから

俺はここまで来れたんだぜ

あんたが居なくなったら

俺はどうすりゃいい

決まりだな

あとは頼んだぞ

シャッケイ

さて行くとするか

取調室の前の通路を

ダンジョウたちと

コヴとウナージュは

足早に歩いていった


── クビを括る覚悟を決めたものたち、地底帝国の詩。