ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

地獄伴侶【15-1-4】

さながらゾンビな

植物人間たちは

ダンジョウたちに襲いかかった

スピードはさほど早くないが

チュローズとの間にいるので

かなり煩わしい

しかも理性がないから

溶解液などの攻撃には

容赦がない

床は次第に溶けて

窪みだらけになって行った

ここで勾玉を使うことは

植物人間たちの成長を

増長させてしまうため

却って自殺行為である

パイプの水は

スプリンクラーの如く

飛散し続けている

 


テンムスはここで閃いた

 


"ミズヒキ"を行い

パイプの水から精霊を召喚した

シャオビンの空間切開チョークで

今にも別の場所へ

移動しようとしていたチュローズの脚を

テンムスの水の精霊が捕らえた

 


彼女は床にべたりと打ちつけられると

そのまま引き摺られて

もう一体の精霊に顔を食べられた

食べられたと言っても

水のなかに入っているような状態だ

 


体表面の殆どは

先ほどのシャッケイの炎で

焼け爛れていたため

皮膚呼吸は行えなかった

おまけに呼吸器も

水が侵入していて

窒息寸前だった

 


 この…小娘…がば

 よくも…わたしを…

 このまま…終わると…

 がぼがばばば…

 大間違い…がばば…ば…

 


チュローズは断末魔の言葉を残して

僅かに残った棘を発射した

 


その棘は

ウナージュの心臓を貫いた

 


それと同時に

チュローズはそのまま息絶えた

 


── 地獄への道連れ、地底帝国の詩。