ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

白状暴露【14-1-4】

ウナージュは

西にあるマンション街を目指して

イモムシカーを走らせた

 


そこはマンション街といっても

煌びやかなイメージとはかけ離れており

まるで巨大なゴミ捨て場のような所だ

文字通りゴミが辺り一面に投棄され

廃墟のようなマンションが

樹海のごとく拡がっている

しかしながらそこにも

生活はあるのである

寧ろ地上の高層ビル街なんかより

よっぽど自由な生活かもしれない

 


ウナージュは

ずっと気になっていたことを口にした

 


 プラントの警備員も

 さっきの店主も

 いきなり態度が急変したわ

 あなたたちと一緒に行動するように

 なってからよ

 あなたたちのなかに

 何か能力を隠し持っている者が

 いるような気がしてならないわ…

 


ダンジョウはテンムスを横目で見て

テレパス通信の要請をした

 


 "何よ"

 

 "いや、これもう言うしかないかなぁ…

 って思って"

 


 "あなたがやったことなんだから

 自分自身で決めなさいよ!

 他人にあまり頼るんじゃないの!"

 


 "ですよねぇ〜…"

 


ダンジョウは渋々手を上げた

車内の全方位モニターの一部に

右手を上げたダンジョウが

ちょこんと映った

 


 あのぉ〜…、ぼくがやりました…

 


 はぁ〜…、やっぱりあなただったのね

 なんとなくそんな気はしていたわ

 


ウナージュは薄々気がついていたようで

呆れながらもやさしく諭した

 


 相手は素人じゃないのよ

 もし万が一何かあった場合には

 仲間にも危険が及ぶことを

 忘れないで頂戴

 でも、助かっているわ

 何か奇跡でも起きたのかと思ったもの

 その能力、詳しく教えて頂戴

 今後も役に立つはずだから

 


 簡単に言うと

 他人の精神をハッキングするんです

 みなさん宇宙と交信するでしょう?

 ぼくはその時に他人の

 "精神の糸"が見えるんです

 それを手繰り寄せて、なかに入ると

 その人を操作することが出来ます

 一応その人になりきることは出来るけど

 その間ぼくの身体は無防備状態です

 白目を剥いて、完全に固まっています

 また、そんなに長いこと

 操作することは出来ません

 


ウナージュは頭がパニック状態だったが

気持ちを落ち着けて話し始めた

 


 そんなことが…出来てしまうのね…

 分かったわ…、話してくれて

 どうもありがとう

 


車内を気まずい空気が占拠していた

 


 "え、ぼくのせい?"

 


 "そうね、完全に警戒されているわ"

 


 "嫌な空気じゃのう…

 ひとつシャレでも言って

 場を和ませるとするか…"

 


 ""絶対やめて…っ!!""

 


ダンジョウとテンムスは

タヅクリ博士の提案に

全力で待ったをかけた

 


── 信じ難い真実、地底帝国の詩。