ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

希望のかけら【11-2-4】

シルヴィ

それはなに

テンムスは

テレパス通信で

シルヴィに呼びかけた

足先で触れた感覚が

どこか

懐かしいものだったからだ

わたしが

あなたを守っているから

少し見てみてくれないかしら

母親の斬撃をかわしながら

テンムスは

シルヴィを死守した

暗くてよく見えないが

恐らく割と出血も

しているような感じだ

テンムス

これ板みたいなやつだよ

確か玄関の近くに

飾ってあったの

やっぱり鏡か

それはね

わたしたちが

探し求めているものなの

多分光を当てないと

力を発揮しない

お願い

ここから出て

外の光をそれに

当ててもらえないかしら

でも

わたしは大丈夫

絶対生きて戻ってくるわ

母親の意識を

自分に集中させ

シルヴィを

物置の外へ逃した

しかし母親の反応は早く

シルヴィの首根っこを掴んだ

どこへ行く小娘


── 希望のかけら、地底帝国の詩。