ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

わたしの宝物【10-2-4】

極限の状態で

ダンジョウにひとつの

希望の光が降り注いだ

おばあさん

ぼくはダンジョウと言います

勝手に入ってごめんなさい

でも今

その鏡の断片を探して

この土地にやって来たんだ

その欠片をぼくに

譲ってはくれないかな

わしはシソウメ

長いことここで

人を待っています

これはその人に渡す

大切な宝物だから

あなたにはお渡し出来ません

ダンジョウは言葉の端々に

違和感を感じた

鏡の断片は

最近飛び散ってなくなったものなのに

何かがおかしい

時系列があまりにもバラバラだ

あたかも昔からあったもののようだ

東の街でも

公社に発見されて

奪われるまでが

あまりにも早かった

ぼくは本当に

地底にいるのだろうか

現実を見ているのだろうか


── 湧き上がる疑念、地底帝国の詩。