ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

シンデレラストーリー【17-3-3】

ブルードゥウェイのコンサートホールでは

新作演劇のオーディションが

粛々と執り行われていた

 


テンムスは

もちろん演技はおろか

歌唱の経験さえもなかった

周りの人々が行う様子を伺いながら

ミュージカルというものの雰囲気を

肌感覚で探っていたのであった

 


するとどうだろう

まさかのオーディションに

合格してしまったではないか

 


経験が無かったことが

功を奏したのか

恐らく自然体で挑めたのだろう

 


しかしテンムスは内心

裏で糸を引いている人物の存在も

疑わずにはいられなかった

 


ヴリテリーは

テンムスを祝福しながらも

複雑な心境だった

 


ミリンダは勿論怒り狂っていた

 


兎にも角にも

新作演劇の主演女優は

リンゴスことテンムスに決定したのであった

 


── その階段は栄光へと続くか、地底帝国の詩。