ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

曝け出すこころ【17-4-2】

テンムスが目を覚ますと

そこは見知らぬ部屋だった

霞む視界の端に

窓辺を見やる人影が見えた

 


 ん…ヴリテリー?

 


テンムスは目を擦りながら

ぼそりと呟いた

 


人影はこちらが目を覚ましたのに

気がついたのか

ゆっくり近づいてきた

 


 お目覚めかな?

 


テンムスに微笑みかけた人物は

中世的な顔立ちで

性別を判断しかねる程だった

 


テンムスは身構えたが

その人物はビックリして

後ずさった

 


 あぁ、そうなるのも無理はないよね

 けれどもわたしはきみの敵ではないよ

 


両手を挙げて

敵意がないことをアピールしていた

 


 証拠は?

 アナタがわたしの敵ではないという証拠は

 どこにあるのかしら?

 


目の前の人物は

困ったように笑いながら

申し訳なさそうに

来ていた服を脱ぎ始めた

テンムスは身構えながら見ていたが

どんどん裸に近づいていくので

少し焦ってきた

遂には全裸になって

 


 コレで良いかな?

 


恥ずかしそうに手を上げた

 

 

 

紛れもなく男性だった

窓から差し込む光も相まって

どこか神秘的な出立ちだった

後光が差しているかの如き様相を呈していた

 


体格でも性別は判断しかねたため

すべて曝け出して分かることもあるのだと

テンムスは妙に冷静になったが

急に恥ずかしさが込み上げてきて

赤くなった顔を静かに両手で覆った

 

 

 

 


そして彼女が自分もまた

裸であるということに気がつくのは

もう少し後の瞬間である

 


── すべて曝け出した先に、地底帝国の詩。