ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

高飛車の魔女【17-2-3】

ブルードゥウェイにある

コンサートホール

リンゴスことテンムスと

ヴリテリーは

オーディション会場へと入った

 


 なんとかギリギリね

 

ふたりはへとへとになりながらも安堵した

 


そこへミリンダがやってきて

ふたりを軽く見下ろした

 


 あら、この街のヒトの服装にしては

 貧乏臭い服装ね

 


ミリンダは明らかにテンムスの方をむいて

嫌味を言い放った

 


テンムスはこの街の文化を

まだあまり良く知らなかったので

ミリンダの言葉には

ピンと来なかった

 


しかしながらヴリテリーは

テンムスが傷つくことを恐れて

ミリンダに反論してみせた

 


 そうかしら?

 あなたの口から出る言葉の方が

 よっぽど貧乏臭いわよ?

 


 何を〜、このど素人の小娘!

 現役舞台女優の力の差を

 思い知るがいいわ!

 そして咽び泣きなさい!

 


ミリンダは捨て台詞のようなものを

ヴリテリーに向かって吐き捨てると

スタスタどこかへ行ってしまった

 


 プライドが高いというか

 なんというか…

 女優はああでないと

 やっていけないものなのかしら

 そんなの嫌だわ

 


 ねぇ、ヴリテリー

 貧乏臭いってどういうこと?

 わたし何か匂っていたかしら?

 


ヴリテリーはずっこけてしまった

テンムスは貧乏臭いの意味が

分かっていなかったようだ

その後、

お花のいいにおいがすると伝え

服装に関しても褒めちぎった

 


──女同士の争い事、地底帝国の詩