ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

自転草を駆るものたち【16-1-4】

タヅクリ博士とダンジョウは

なんとか溶岩ダムの外へと出た

辺りは荒野で

どちらかと言うと砂漠に近かった

 


しかしながら

タヅクリも心力を

ほぼほぼ使い果たしてしまった

ふたりとも動けずじまいだ

 


 "こやつを助け出すのに必死で

 後のことはまるで考えとらんかった

 どちらにせよ、このままじゃ

 のたれ死んでしまう…!

 

 

 

もうダメかと思ったその時

砂煙の向こうから

何やら転がる草に乗った

集団がやって来るのが見えた

 


 た、助かった

 誰か来たぞ、ダンジョウ

 ワシらは助かったんじゃよ!

 


歓喜したのも束の間

タヅクリ博士も

気を失って倒れてしまった

 


 

 おいおい、こんなところに

 倒れてる奴らがいるぜ

 行き倒れでもしたんかな?

 


 こんなとこで行き倒れるなんて

 どんなモノ好きだよ

 ダムの前だぜ

 

 そんなオレたちも

 十分モノ好きだけどな

 ダム巡りなんて

 しようと思わないぜ、フツー

 


ガラの悪い六、七人が

倒れたダンジョウたちを見て

珍しがった

 


 自転走だからよ

 そんなに強度はねぇけれど

 リアカーぐらいは引けるよな

 連れ帰って

 ボスに見せてから

 売れる臓器がないか

 確認してみようぜ

 


自転草に乗ったギャングたちは

ダンジョウたちを

リアカーに載せると

そのまま来た道を折り返していった

 


── 彼らの運命は、地底帝国の詩。