タヅクリはそのまま
Rubbスタンドで寝てしまっていた
砂金時計は
早朝の時刻付近で流れ落ちている
ワシとしたことが
酔い潰れて寝てしもうたわい
マスター、すまんのう
迷惑かけてしもうた
いえ、良いんですよ
わたしはいつもずっとここに
居りますので
ユヴァくんは
流石に帰ってしもうたよのう?
そうですね
しかし
ほんのさっきまでは居ましたよ
タヅクリさんが
Rubbの音楽に興味を示してくれたことが
とても嬉しかったみたいで
ずっと喜んでおりました
ワシは好奇心だけは
殺さないように心がけてはいるのじゃが
いかんせん
この年頃になると
なかなか痺れるものにも
出会いづらくはなるの
久々に電流が走ったわい
それはよかった
ユヴァさんもきっと喜びます
それと…
あの楽器を教わりたいのじゃが
あの楽器はロクソフォンと言います
もっぱらロックスと呼ばれております
彼みたいには吹けませんが
私も教えるくらいは出来ますよ
本当か!
是非お願いしたいものじゃ!
そう言えば
使っていないロックスが
あったような…
マスターは
奥の部屋に行くと
色褪せて埃の被ったロクソフォンを
取り出して来た
それを綺麗に磨き上げると
玉虫色に輝きを放った
まるで甲虫のようだ
新しいマウスピースをつけて、と
どうです?綺麗でしょう?
タヅクリはそれを受け取ると
なんとも言い難い表情になった
── 何かを始めるのに年齢なんて関係ない、地底帝国の詩。