2022-01-01から1年間の記事一覧
さながらアールデコ調の 高層ビルが軒を連ねる 北西の都市 人々が静かに 宇宙と交信を始める頃 テンムスは 路地裏の迷宮を駆けていた 彼女は今まさに 西のプラントから逃亡を図った プラント総括長シャオビンとの 戦闘中だった シャオビンは巨大な図体をして…
身体を心力でコーティングしても 熱気は伝わってくるなぁ ダンジョウは汗をダラダラかいていた 下を流れる溶岩以外 障壁になるようなものは なにひとつなかった… はずだった なんか輸送路が 狭まって来ているような 感じがするのは気のせいじゃろうか? うん…
やっぱり溶岩の近くは暑いなぁ… ダンジョウは空から降り立った瞬間に どっと汗を流した 一方のタヅクリは あまり変化がなさそうだ ダンジョウたちが 降り立った瞬間から 辺りには侵入警報が鳴り響いている 溶岩輸送路を移動するんでしょう? 早いとこ行かな…
ダンジョウたちは 無事にUFOに乗り込んだ 席に着くと 早速UFOが離陸した 全方位心力ヴィジョンで まるで席につきながらにして 空を飛んでいる感覚である 観光客たちは その非日常的な光景を見て 歓声を上げていた 一方のダンジョウはというと 飽きるほど乗っ…
ダンジョウとタヅクリは プラントへ向かう足掛かりを 探していたが もう人力車は懲り懲りだった そこで いちばん初めに この土地に来た際に お釈迦にした UFOを捕まえることにした UFOであれば乗り心地も良いし 何より怪しまれずに済むのである ふたりとも …
タヅクリ博士とダンジョウは 西の都市のジャンク市場に来ていた どうやらここでは 地上から流れてきた部品が 選り分けられずに そのまま投げ売りされているようだ 博士、こんなとこ来てどうするのさ? ほっほっほ 一度じっくり見てみたかったんじゃよ なにし…
ダンジョウたちは 宿を後にしたものの あてがなかった 次の場所は分かるけど そこに行くには どうすれば良いだろう 次は北西の都市じゃな ここや東の都市に引けを取らない 大都市じゃぞ また都会かぁ 正直豊かな自然が見たいところだよ もう一日経ってしまっ…
翌日 巡査部長のシャッケイは 有給休暇をとって 未来博覧会へ来ていた 昨日 タヅクリ博士が 勾玉で見ていた場所だ 何より注目は 新型休息ポッドの体験会である イモムシカーのノウハウを用いて 開発された次世代機器だ 若返りなども期待されていると言う ポ…
プラントの一件から数日後 ダンジョウとタヅクリ博士は 運良く宿に泊まることが出来た 西の都市は観光客が 絶えず往来しており 宿をとるのは至難の業なのだ ダンジョウはベッドに突っ伏していた 地底の人々は交信で 体力を回復するが 寝床は休息用として必要…
ウナージュは来る日も来る日も 彼のことを思い出した けれども来る日も来る日も 彼は帰っては来なかった 途方に暮れていた彼女は 彼の死因を突き止めようとした あの時同じ場所で 彼が関わっていた人物 流石に個人で調べては きっと彼の二の前になるだろう …
その男の名前はサンショウ 行く当てのなかったウナージュは そのまま彼の家の居候になった ともに生活して行くうちに ウナージュのなかには 今まで感じたことのない感情が こころの底から 沸々と湧き上がって来た 冷たく流れていたウナージュの血液は 次第に…
ウナージュは貧困地区の 貧しい家庭に生まれた それゆえ満たされないままの 毎日を送っていた 自分のこころを 満たしてくれるものを探して 好奇心の赴くままに 悪事にも手を染めた しかしながら 彼女のこころが 満たされることはなかった そればかりか 次第…
ウナージュは 口から血を流しながら その場に崩れ落ちた ウナージュ!! シャッケイはすぐさま駆け寄ると 彼女を抱き上げた しっかりしろ!! なんてこった…!! シャオビンは チュローズの持っていた 鏡の断片を即座に拾い上げ 空間切開チョークで開けたホ…
さながらゾンビな 植物人間たちは ダンジョウたちに襲いかかった スピードはさほど早くないが チュローズとの間にいるので かなり煩わしい しかも理性がないから 溶解液などの攻撃には 容赦がない 床は次第に溶けて 窪みだらけになって行った ここで勾玉を使…
チュローズが天井に 蔓を叩きつけると プラント内の 冷却装置に繋がるパイプが破れ 水が噴き出して来た モルフェン畑に引火した炎は 瞬く間に鎮火し 消し炭になったモルフェンと 黒焼きになったカタツムリバイクが 姿を現した シャッケイが心力で誘引した炎…
ダンジョウたちは チュローズの蔓から解放された ぎゃあああああ!! チュローズの 断末魔のような叫びが プラントのラウンジに響き渡った 蔓はどうやら彼女と繋がっていたらしく シャッケイの炎が燃え移ったようだ シャッケイさん、来てくれたんだね あの炎…
この世界で生きていて 徳なんてないさ どんどん つらくてみすぼらしい思いになる けれどもそのなかの ほんの何気ないことに 幸せを感じることだって あるんだぜ 少なくとも 俺はそのために毎日を生きている その積み重ねが 大きな幸せに繋がるんだ コヴさん …
署の物品整理の時 コヴさんの机の 鍵のかかった部分が UFOが突っ込んだ衝撃で 壊れて空いてたんだ そんで 偶然見つけちまったんだよなぁ モルフェンが 大量に入ってたのを そっから俺は独自に捜査してたんだ まずアンタの身内から洗いざらい探して 辿り着い…
モルフェンの花は 硝子のショーケースのような場所に びっしりと栽培されていた そして この部屋一帯も硝子で覆われていた アオダンは 時が止まったかのように 黙り込んでいた マッチかなんかないの? ダンジョウが訪ねると そんなものないわ 火打ち石が有れ…
少し奥まった地下通路にある 錆びついた扉を開くと パイプだらけの通路に出た 先程までいたマンションの ボイラー室とよく似ていた あなたたち 熱には弱いくせに 生暖かいのは得意なのね なかなか敏感とも 言えるのかしら ウナージュは植物人間のアオダンに …
ダンジョウたち三人と 公安警察のコヴとウナージュ 蛮三會組員の植物人間 イモムシカーの車内は 定員オーバーでぎちぎちだった 本当は規定違反なんだがなぁ まぁそんなことも言ってられんから 今は目を瞑るとするか コヴが仕方なさそうにため息をついた それ…
ダンジョウは パイプを勾玉で切り裂くと そこから出た蒸気を 植物人間目掛けて振り撒いた 植物人間たちは 一斉に断末魔の叫びを上げて ドロドロに溶け始めた 部屋の隅っこに残った 植物人間のひとりは へたり込んで その蒸気に怯えていた さぁて 残るはあん…
さっきから黙って聞いてりゃ つべこべ抜かしやがって… うるさいハエは食べてしまうぞ! 蛮三會の組員のひとりがそう言うと 手の指がビヨンと伸びて ダンジョウに絡みついた うわあああ! 組員の顔は次第に変色していき 緑色になった まるで食虫植物のような…
ダンジョウの眼前には 豪華な出前料理を食する マフィアたちの姿が映っていた ダンジョウじゃないか まぁ座りたまえ 良ければきみも食べていけばいい ホージは飄々と促した 誰が…っ! ホージ! 自分がいま誰と何をしているのか 分かっているのか? コイツら…
五人がボイラー室へ降りてゆくと パイプとパイプの間には ダンジョウの言う通り 人為的に生成されたような 秘密の入り口があった そこに扉は無かったが 周りの壁とは 明らかに異質な様相だった ここだけ雰囲気が違うわね まるで空間が歪んでいるみたいだわ …
ここに来ていたのね…! 誰?知り合い? ウナージュがとぼけた顔で ふたりに尋ねた 知り合いではないかな 同じ釜の飯を食った"仲間"だ…! あいつはコルネに 利用されているんだよ…! ダンジョウは息を詰まらせながら答えた コルネって… コルネインダストリ社…
バコン! ウナージュが扉を勢いよく開けると 五人はなかへ突入した しかしなかはウナージュの勘通り 既にもぬけの殻だった "やっぱりやられた…!" ウナージュは悔しそうに壁を叩いた ひと通りなかを探索したが やはり人影すらも見当たらなかった ダンジョウ…
五人はまるで廃墟のような マンション街を散策した ウナージュは手元に 店主の勾玉からダウンロードした地図を 実際の地形に当てはめながら歩いていた 辺りに人影はないが どうやらマンション内には 人がいるようで ベランダからタバコを蒸しているのが 見え…
イモムシカーは 西の外れのマンション街に 辿り着いた ダンジョウは思っていたような 高級タワーマンション街でなかったことに 驚きを隠せなかった え…ここ、人住んでるの…? 廃墟じゃないの…? 繁華街とはあまりに雰囲気が違うけど 人はちゃんと住んでいる…
ウナージュは 西にあるマンション街を目指して イモムシカーを走らせた そこはマンション街といっても 煌びやかなイメージとはかけ離れており まるで巨大なゴミ捨て場のような所だ 文字通りゴミが辺り一面に投棄され 廃墟のようなマンションが 樹海のごとく…