ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

虎穴虎子【14-3-1】

五人がボイラー室へ降りてゆくと パイプとパイプの間には ダンジョウの言う通り 人為的に生成されたような 秘密の入り口があった そこに扉は無かったが 周りの壁とは 明らかに異質な様相だった ここだけ雰囲気が違うわね まるで空間が歪んでいるみたいだわ …

突入準備【14-2-4】

ここに来ていたのね…! 誰?知り合い? ウナージュがとぼけた顔で ふたりに尋ねた 知り合いではないかな 同じ釜の飯を食った"仲間"だ…! あいつはコルネに 利用されているんだよ…! ダンジョウは息を詰まらせながら答えた コルネって… コルネインダストリ社…

時既遅過【14-2-3】

バコン! ウナージュが扉を勢いよく開けると 五人はなかへ突入した しかしなかはウナージュの勘通り 既にもぬけの殻だった "やっぱりやられた…!" ウナージュは悔しそうに壁を叩いた ひと通りなかを探索したが やはり人影すらも見当たらなかった ダンジョウ…

廃墟探索【14-2-2】

五人はまるで廃墟のような マンション街を散策した ウナージュは手元に 店主の勾玉からダウンロードした地図を 実際の地形に当てはめながら歩いていた 辺りに人影はないが どうやらマンション内には 人がいるようで ベランダからタバコを蒸しているのが 見え…

石木森林【14-2-1】

イモムシカーは 西の外れのマンション街に 辿り着いた ダンジョウは思っていたような 高級タワーマンション街でなかったことに 驚きを隠せなかった え…ここ、人住んでるの…? 廃墟じゃないの…? 繁華街とはあまりに雰囲気が違うけど 人はちゃんと住んでいる…

白状暴露【14-1-4】

ウナージュは 西にあるマンション街を目指して イモムシカーを走らせた そこはマンション街といっても 煌びやかなイメージとはかけ離れており まるで巨大なゴミ捨て場のような所だ 文字通りゴミが辺り一面に投棄され 廃墟のようなマンションが 樹海のごとく…

情報閲覧【14-1-3】

これがそうね 解錠して開けた引き出しには 店主の言う通り 彼のものと思しき 勾玉が入っていた それと同時に麻薬も幾つか発見された ウナージュは 勾玉を手に取ると 交信を行い、心力統一をした 大抵このようなケースの勾玉には 心力セキュリティが かけられ…

情報漏洩【14-1-2】

気絶していた店主が 目を醒ました お目醒めかな? コヴがやさしく問いかけた 眩しいのか 店主はやたらと 顔を影に背けたがった 単刀直入に聞くが、 この店の上には誰が居る? 何らかの組織と 絡んでいる可能性が否めんのだが… 俺は何も知らない 唯の衣装屋の…

選取見取【14-1-1】

でかしたぞ、ダンジョウくん もうホントに目が回って 今にも吐きそうでした… "三人は何でここに 向かってきたんだろう" ウナージュは疑問に思った 店主の手には手錠がかけられ そこらにあった イスに縛りつけられた これで逃げも隠れも 出来んだろう ウナー…

臨戦熱戦【13-4-4】

衣装屋微笑では 店主と公安警察ふたりの 戦闘が続いていた こいつモルフェンを 使用している けれどもそれだけではないな ウナージュは 麻薬による身体能力強化の 可能性が感じられたが 単にそれだけではないことも 確信していた モルフェンを使用することで…

非情微笑【13-4-3】

コヴとウナージュ 食い逃げ犯のパオは ダンジョウたちより ひと足先に 衣装屋微笑に到着した 早速なかへ入ると 怪しい雰囲気の 古着屋だった また悪趣味な店だなぁ コヴが呆れたように呟いた 店内は独特な匂いが 充満していた 店の奥へ進んで行くと サングラ…

移動手段【13-4-2】

服屋なんかに行って どうするんだろう 買い物でも するのかなぁ ダンジョウは とぼけたように言った そんなわけはないでしょう 大抵麻薬っていうのは 売人のルートがあるものなのよ 服屋はきっと そうに違いないわ でもずっと同じ服だから 流石に新しいのが…

聞取調査【13-4-1】

早速 イモムシカーのなかで 取り調べが実施された このモルフェンは どこで入手したものかしら 食い逃げ犯のパオは だんまりした 言えないのなら その頭を吹き飛ばしても 良いのだよ ウナージュの言葉を 遮るように コヴが 半度丸をパオの 頭に向けて構えた …

問題物質【13-3-4】

これはモルフェンという 麻薬なの モルフェンは 美しい花を咲かせた後 あめ玉のような 蕾が残るの それを乾燥させて 粉砕したのが この麻薬ってわけ モルフェンの 流通量が近頃 急速に増えているわ 公安警察も 手に負えないほどにね ウナージュは 麻薬の解説…

麻薬捜査【13-3-3】

ウナージュは 食い逃げ犯の荷物のなかから 透明な小さい袋を 手に取った 地上のビニール袋に 一見見えるが これは動物の 内蔵で出来た袋だ その袋に入ったものが なんなのか 彼女はすぐさま 察知した これは違うんだ 入っていたんだ いつの間にか いつの間に…

他人の自分

自我のなかに 誰かいる わたし以外の 知らない誰か いつからそこに 居るのだろう 会話を交わした こともない 悲しい気持ちの 真んなかを 裸足でずかずか 歩いてる スリッパくらい 履いてよちょっと ── きみはいつまで、そこにいるのか。

事件発生【13-3-2】

ふぅ もうお腹いっぱいだぁ ダンジョウの腹は 元の二倍くらいに 膨らんでいた あなたの食欲 底なしね テンムスは目を まん丸くした 交信しても やっぱり減るもんは減るよ 久々たくさん食べられて 満足したよ 誰か 食い逃げよ 調理場の方から 叫び声が聞こえ…

団欒件欄【13-3-1】

うまそぉ〜 ダンジョウの目の前には ありとあらゆる料理が テーブルいっぱい 敷き詰められていた どれも見たことあるようで 初めて見るものばかりだった いただきます なにそれ 呪文か何か ウナージュが 聞き慣れない言葉に 疑問を持った いっつも聞かれるん…

至繁華街【13-2-4】

追い出されちゃったね プラントに関しては 世界機関だから 我々国家権力では 太刀打ち出来ないのは山々だな 芋づる式に 証拠を手繰り寄せるしかない コヴは呆れたように 笑みを浮かべた ま 気晴らしに 繁華街にでも行くとするか 警部補何を言って 遊んでいる…

工場見学【13-2-3】

なにがどうなっているんだ コヴは警備員の 不可思議な行動に 困惑していた 彼 味方を撃とうとしましたね しかも突然 犯人のダンジョウら 飄々としていた 若年の彼とて 口を滑らせれば まずい状況になると 分かっていた なにせ相手は 公安警察なのだから こら…

溶岩工場【13-2-2】

着いたわよ ダンジョウたちの 目の前には 巨大な溶岩生成プラントが 聳え立っていた ここで生成された溶岩は この都市のみならず 他の都市にも配給され また地上に於いての 火山活動の原動力ともなっている 地底帝国を代表するインフラだ なんだかやっぱり …

車両芋虫【13-2-1】

コヴとウナージュ ダンジョウたちは 署を後にして 早速捜査へ繰り出した 外に出ると ウナージュは イモムシ型の車を 起動させた うわ なにこれ 車なの ダンジョウが 気持ち悪そうに それを見た 馬鹿にしないでよ これでもれっきとした マシンなんだから 彼女…

於取調室【13-1-4】

ダンジョウたちは 別々の部屋に 留置された そしてそれぞれ 取り調べを受けた だからさぁ おれはウソなんか ついていないって ダンジョウは 机をバンと叩いた あたしはウソなど ついていないわ テンムスもまた 机をバンと叩いた ワシはウソはついとらん タヅ…

羽化手錠【13-1-3】

不時着した 円盤のなかから 出て来たのは こちらと同じ編成で 年寄りひとり 男女ふたりの 三人組だった そのうちの少年は こちらが半度丸を 構えていることに気づくと 静かに両手を挙げた ごめんなさい 本当に こいつが悪いんです 小声で少年は呟いた どうし…

円盤飛来【13-1-2】

コヴとシャッケイ ウナージュの三人は 署内で起きた現実に 自らの目を 完全に疑った 白昼堂々 UFOが突っ込んって 来るなんて 西の都市には 大きなエネルギープラントがあった 本来であれば そこの専用通路から 地上世界へ向けて 発進するはずだからだ だから…

西都市公安警察【13-1-1】

公安警察に所属する 警部補コヴ 巡査部長シャッケイ 巡査長ウナージュは 頭を抱えていた どうなっているの 最近の犯罪件数が うなぎ上りよ これじゃあ いくら取り締まっても キリがないわ うむ マフィア連中に 勢いがついて来ているのは事実だ このままでは …

突入都市【12-4-4】

真心丸の雨に撃たれて ダンジョウは 必死にUFOを 都市のなかに 移動させた 迷彩機能を 使っているにも関わらず マフィアたちは 照準を見事に 合わせてくる なんで見えているんだ 他の都市とは違って ここは国家ぐるみで 心力の鍛錬をしているの きっと心眼で…

歓迎光臨【12-4-3】

西の都市の門が開くと そこに待っていたのは 大勢の強面軍団だった ダンジョウは 映画で見たことあるような 敵の一団だと思った 服装も映画宜しく 香港マフィア風の スタンドカラーで デザインは異なるものの 道着のような 黒ずくめのものを 各々身に纏って…

開口【12-4-2】

なんだか凄い デザインだなぁ ダンジョウは 西の都市の 門の奇抜さに 度肝を抜かれた これちゃんと 開くんだよね わたしに任せて ちょちょいのちょいよ テンムスは イヤリングを外して なかから何か 取り出した これ繋げられて タヅクリ博士に 相談をした ち…

空に浮かぶ大口【12-4-1】

自動操縦でよかった 合成人間が乗っていたら 大変なことになっていたな あ この後のこと 考えていなかった ダンジョウは ドラゴンマシンを 突き抜けたまま 雲間から真っ逆さまだ なんと無茶な タヅクリは 急いでUFOを起動させ ハッチを開けて ダンジョウを …