ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

非情微笑【13-4-3】

コヴとウナージュ

食い逃げ犯のパオは

ダンジョウたちより

ひと足先に

衣装屋微笑に到着した

早速なかへ入ると

怪しい雰囲気の

古着屋だった

また悪趣味な店だなぁ

コヴが呆れたように呟いた

店内は独特な匂いが

充満していた

店の奥へ進んで行くと

サングラスをかけた店主が

タバコを吸いながら

脚を組んで本を読んでいた

公安警察とパオの姿に気がついた

アニキごめん

パオは半泣きになりながら

店主に向かって謝った

しかしながらその瞬間

半度丸を出して

パオの脳天をぶち抜いた

そのスピードたるや

公安警察の二人の目にも

まるで追えないものだった

ウナージュは臨戦態勢をとり

コヴを庇いながら

半度丸を構えた

すぐさま店主の拳が飛んできて

彼女は防御するのに精一杯だった

なにこの速さ

尋常じゃないわ

一方その頃

ダンジョウたちは

ダンゴムシの人力車で

目を回していた

なかも回っちゃってましたね

すみません

どうやら飛脚は

装置の設定を間違えたようだった


── 腐った部分を切り落とすように、地底帝国の詩。