地下に居たから
あんまり遠くへ来た感じ
しなかったけれど
街の方からは
こんなに離れていたんだね
ダンジョウが
感心して言った
中心地の建造物群とは
打って変わって
郊外は自然豊かな
平原といった感じだった
ぼくは地底に
こんなところがあるなんて
思いもしなかったよ
だって空だって
あるんだから
空はどこだって
あるじゃろう
タヅクリ博士は
物珍しそうに言った
そういうものかなぁ
ダンジョウには
自らの常識と呼ばれるものが
もう既に意味をなさないことに
少しずつ気がついていた
ここが地底であることにも
なんの違和感も
感じなくなるほどに
── 当たり前が見当たらない、地底帝国の詩。