ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

東の都市【6-2-2】

基礎的な修行を終え

地上と地底の境目にある

龍脈領域を抜けた

ダンジョウ一行は

ポータルを通って

東の都市の地を踏んだ

地方が変わるだけで

こんなにも街並みが変わるんだな

ここは地底帝国内では有数の都会よ

テンムスが自慢げに話した

こんなにごみごみしてちゃ

鏡の断片なんて見つかりっこないよ

わたしのこれなら

反応を察知出来るわ

あとは自分たちの感覚ね

そのための修行だったわけだよな

あんまり修行って感じの

修行じゃなかったけれどさ

鈍っていた感覚くらいは

しっかり目醒めた感じがするわよ

そんな他愛もない会話を

していると

博士が咄嗟に

身を隠せ

と小声で言った

持って来ていたローブで

身を包んだ

金色に輝く鎧と

同じく輝く

馬型機械に騎乗した

騎士のようなものが

三人の目の前を通り過ぎた

難をやり過ごすと

ああいう状況苦手なんだよな

なんか無性に笑いが

出て来ちゃうんだよ

なんて不謹慎な人

統率は取れていると言っていたけれど

やっぱり帝国軍に

寝返っているのかな

その可能性は

充分にあり得るわ

用心しましょう

三人は引き続き

鏡の断片を探して

彷徨い歩いた


── 迫り来る闇の気配に身悶える、地底帝国の詩。