ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

たとえこの身を捧げても【3-4-3】

ダンジョウは

慣れない能力を

続けて使用したため

先ほど回復した心力は

再び消耗状態に

陥っていた

彼は自分の身体よりも

テンムスの安否が

気がかりだった

両鼻から鼻血を出し

目は充血して

血走っていたが

一刻も早く

祭壇を抜け出そうと

試みていた

博士

地底帝国には

ここ以外の街があるのかい

さっき飛び散った鏡は

八つの異なる街に

吸い込まれていったように

見えたけれど

そうじゃな

東西南北に四つ

そして方角それぞれの

中間あたりに四つの都市が

存在しておる

ただ

この中央都市でないにしろ

迷宮防壁は

それぞれの都市で

存在しているはずじゃ

それは困ったね

ふと

ダンジョウの心力が

一瞬弱まり

横を通り過ぎた傭兵に

存在を気づかれてしまった


── なけなしの力で、地底帝国の詩。