崖に続く道は
実際に足を乗せてみると
遠目から見るよりも
幅がないように感じた
その上
奈落の底から
見えない手が
身体を引っ張っているような
そんな感じすらする
ダンジョウは
注意深く足を踏み入れ
音も立てぬよう
抜き足差し足で歩いた
終始へっぴり腰ではあったが
少しずつ進んではいた
着替えは済んでいたものの
テンムスから勾玉光輪を
預かっていた
それを背中に背負っているため
赤ん坊ひとり分くらいは重たかった
ほぼ爪先だけで移動していたので
そろそろ足先の感覚が
無くなって来た
少し気を緩めてしまった瞬間
ダンジョウは
奈落の底の餌食となった
── 暗黒に喰われる、地底帝国の詩。