ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

クズキリの弟子、ホージ【4-3-3】

ぼくもその修行に

加わりたいです

横で聞いていたホージが

途端に口を開いた

丁度いいな

年頃も近いみたいだし

クズキリはホージの案に

賛成した

しかしながら

クズキリは怪訝な顔をした

ひとつ疑問なのだが

地上人なのにこの数日間

石畳の反射のみで

僅かにしか太陽光の入らない

地底帝国で

こんなに動き回ることの出来る人間は

かつて存在しただろうか

思い返してみると

ダンジョウは

心力の消耗こそしたものの

立って歩けなかったり

精神的な異常は

まだ見られなかった

通常の地上人であれば

僅か一週間もしないうちに

うつ症状が現れ

少しの打撲でも骨折してしまうくらいだ

そうなるときみは

帝国軍に狙われる可能性が

大いにあるだろう

気づいたのが遅かったが

テンムスは恐竜人間から

奪い取った勾玉光輪を

粉々に打ち砕いた

とまあ今の会話は

あちら側に訊かれている程で

今後は行動した方が良いだろう

ホージは

作ったような微笑みを

静かに携えていた


── 人は見かけによらない、地底帝国の詩。