ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

騎馬とバイク【6-3-4】

テンムスはゾニィのバイクに

ダンジョウは他のマテリカンの

バイクに乗った

だがしかし

ゾニィの言った通り

ひとり乗りなので

ほぼライダーに

しがみついているような

状態に近かった

背後からは

追って来た黄金騎士団の騎馬が

三体ほど走っていた

公社へ行きたいだ

そうよ

あんなところ行ってどうする

わたしたちの探しているものがあるの

それはなんだ

鏡の断片よ

おっとそりゃまずいな

きっとそんなもの社長のヤツの

手に渡っていたら

今頃すぐに利用されるぜ

やっぱりあそこの研究員だったのね

ああそうだとも

オレたち全員そうさ

だがな

社長のヤツ

オレたちが研究開発した成果を

まんまと横取りして

自分のものにしやがった

集団ストライキを起こして

ヤツらの技術を利用して

復讐しようと計画していた

ところだったんだよ

ちょうど手間が省けたって感じだぜ

わたしたちが居なければ

動き出さなかったんじゃないの

んなこたねぇよ

その違法車両の集団

公道脇に停車し投降しなさい

馬の口から人間の声がした

そんなこと言われて停まるかよ

このまま公社までぶっちぎるぜ

増幅エンジンの回転数を上げ

タツムリバイクは

さらに加速した

ゴールは公社の玄関よ

ド派手にやりなさい

テンムスは発破をかけた

騎馬とバイク

一見すると有機物と無機物だが

どちらも有機物であり

そしてまた無機物である

地底の石は意志を持つのだ

騎馬隊を一気に振り切り

石造りの公道を駆ける

漆黒の狼たちは

刹那

黄金塗れの門をぶち抜いた

オフィスのロビーに

ガラスの雨が

横殴りに降り注いだ


── 突入、地底帝国の詩。