ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

裏切り者ホージ【8-3-2】

近頃彼はテンムスたちと

行動してはいなかったが

ともに修行をした仲間だった

今彼が一緒に居るのは

恐らく帝国側に協力している

コルネ・コルベット

本人だった

修行中の格好とは異なり

身なりを整え

スーツのようなものを

見に纏っている

修行中から

彼の言動には

不穏さが感じられたが

この期に及んで

味方に戻るという選択肢は

まず薄いと考えていいだろう

彼に考えがあるのならば

また別なのだが

やあテンムス

久しぶりだね

ダンジョウの姿が見えないけれど

彼はどこへ行ってしまったのだろう

よそよそしい口調で

飄々と話す彼に

テンムスは苛立ちを覚えたが

あら

ホージじゃないの

一緒に来ないと言っておきながら

結局は金魚の糞みたいに着いてきているのね

右手の折れた金魚の糞は

コルネの腰巾着になったのかしら

皆まで言うな

もう右手の骨折は完治している

あなたの大好きなダンジョウは

あの巻き貝のなかよ

ほほう

それならば都合が良い

あれをあのままのさばらせては

市民の迷惑となるからな

現在地震警報を発令している最中だ

そしてこの後に

暫くの停電も起きるだろう

あなた

一体何を言っているの

ホージは指をパチンと弾くと

巻き貝型マシンが設置していた場所の

更に下から

巨大な砲塔が姿を現した

まさか

そのまさかさ

ダンジョウがなかにいるんだよな

一貫の終わりだな

砲塔は電撃を走らせながら

発射準備を始めた


── 真実は偶然を装い隠蔽される、地底帝国の詩。