ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

聖水の発見【7-2-4】

ぐっ

テンムスの身体は

みるみる内に扉に

取り込まれてゆく

そうか

心力でロックされているのではなく

これ自体が生物だったのか

テンムス

ゾニィが手を伸ばし

テンムスを引き戻そうとしたが

扉のパワーには

手も足も出なかった

オレらがいなくなった間に

こんな生体兵器も開発していたのかよ

でも必ず弱点はあるはずだぞ

テンムス

もう少し辛抱してくれ

ゾニィは近くの物理研究室を漁ると

何かの液体の入った瓶を

持ち出してきた

テンムス

これをかけたら一瞬力が

弱まると思うから

その瞬間に脱出するんだ

最早身体の半分が取り込まれていたが

テンムスにはまだ意識があった

おらっ

じゅううううう

ステーキを焼いたような音が

辺り一面に拡がった

その瞬間に扉は

ううめき声を上げて力を緩めた

テンムスはそのスキを見計らって

扉から脱出した


── 悪魔を退治する聖水、地底帝国の詩。