ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

路地裏の奥【2-3-1】

首根っこを掴まれた

ダンジョウは

細い路地裏にある

小さなボロ屋まで

引きずられて行った

びっくりし過ぎて

息が止まりかけたが

首根っこを掴んだ

張本人を見て

さらに心臓が

止まりかけた

白髪混じりの髪に

白い瞳

右眼にはアイパッチをしており

時折りリボルヴァーのように

ぐるぐる動いていた

頬の痩けていたことも

相まって

まるで髑髏が

姿を現したかと思った

ダンジョウは

驚愕のあまり固まってしまった

少年

そんな固まらんでも

良いだろう

見掛けによらず

声色は柔らかだった

あんたここの人間じゃないな

衣服は別の人間のものを纏っている

それに

少し置いて用心深く

辺りを見回してから

地底の人間でもないな

見るからに視線は

合っていないのに

やはり感覚で分かるのか

すべてズバリ当てて来た

この老人は

何者なのだろう


── 良き理解者となるだろうか、地底帝国の詩。