ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

龍脈の精霊【9-2-3】

ゾニィにはそれが

龍に見えた

ありゃ水で出来た

龍か何かか

テンムス

お前があれを呼んだのか

そうよ

あれは龍脈から呼んだ

精霊よ

おれたちまで

食べられちまいそうだが

まあ見ていなさい

龍脈の精霊は

口から何やら

蒸気のようなものを

吐き出した

すると目の前にいたアメーバは

龍脈の精霊の方に向かって行った

よし今だ

ダクトを出るぞ

ゾニィがダクトを出ようとしたが

アメーバは体温に反応したのか

こちら側へ戻ろうとした

面倒くさいやつだな

熱という熱に反応するのかよ

こいつが精霊のところまで

辿り着くまでは待機だ

じゃあちょっともう少し

テンムスがまた

奇妙な音を立てながら

言霊を唱え始めた

勘弁してくれよ

ゾニィはこういう類のものが

苦手のようだった


── 言霊に乗せて、地底帝国の詩。