ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

迷宮を抜けて【2-1-4】

レンガ造りの壁を

どんどん開いて

都市部を目指すふたり

途中幾らか

蜂型機械たちと

出くわしながらも

難無く無事に切り抜けていた

テンムスの直感では

もうすぐ都市部が

近いと言う

おそらく最後と思われる

防壁の前に立ったが

そこには

レンガ造りの壁は

存在しなかった

ダンジョウは開けてみろと

言われたが

勿論レンガ造りではないため

開くことはなかった

テンムスが頭を悩ませていると

遠くから蜂型機械の大群が

迫って来た

ダンジョウは一貫の終わりだと

思ったが

テンムスの目はまだ

諦めていないようだった

飛び跳ね機械に乗れと言うと

蜂型機械の大群は

尻についた針を

一斉に突き出し

それを放った

その刹那

飛び跳ね機械は

一気に飛び上がり

壁は針の攻撃により

見事に砕け散った

すかさず飛び跳ね機械で

空いた穴から飛び出ると

飛び跳ね機械は

真っ逆さまに落ちていった

その最中

ダンジョウの眼前には

見たこともないような

巨大な都市が拡がっていた


── 少年は知らない世界を知る、地底帝国の詩。