ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

検証【2-1-2】

レンガみたいな壁が

スライドパズルみたいに

開いたんだ

テンムスにはにわかに

信じ難い話だった

壁がそんな風に開くなんて

ましてやこの迷宮は

都市の防壁である

そんな簡単に開いてしまえば

却って困るのだ

テンムスは落ち着いては

居られなかったが

考えるよりも動きたかった

ダンジョウの腕を引っ張って

レンガのように積み上げられた

壁の一部の前に立った

ここ開けてみて

いきなり言われても

ダンジョウは戸惑った

一先ず壁を手についてみたが

特段変わったことは起こらない

嘘ではないと信じたいけれど

実際にこの目で見ないことには

そう言いかけた途端

向こうから何かの

ざわめきが聞こえて来た


── 真実は自分の目で確かめる、地底帝国の詩。