レンガみたいな壁が
スライドパズルみたいに
開いたんだ
テンムスにはにわかに
信じ難い話だった
壁がそんな風に開くなんて
ましてやこの迷宮は
都市の防壁である
そんな簡単に開いてしまえば
却って困るのだ
テンムスは落ち着いては
居られなかったが
考えるよりも動きたかった
ダンジョウの腕を引っ張って
レンガのように積み上げられた
壁の一部の前に立った
ここ開けてみて
いきなり言われても
ダンジョウは戸惑った
一先ず壁を手についてみたが
特段変わったことは起こらない
嘘ではないと信じたいけれど
実際にこの目で見ないことには
そう言いかけた途端
向こうから何かの
ざわめきが聞こえて来た
── 真実は自分の目で確かめる、地底帝国の詩。