ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

トリモチ爆弾【3-1-1】

こんなこともあろうかと

タヅクリ博士は

用意していた

トリモチ爆弾なるものを

取り出した

トリモチ爆弾は

木の実のような

見た目をしているが

ここら辺には

木の一本すら見当たらなかった

ただ

鳥が運んで落としたとすれば

ある意味自然ではある

肝心な鳥ですらも

見当たらなかったが

博士は爆弾を

惜しげもなく放り投げると

それに気がついた傭兵が

警戒しながら近づいて来た

その間警備していた

裏口と思しき入口は

無防備状態だった

カメレオン型機械の

能力を巧みに

利用しながら

ふたりは入口の前まで

歩を進めた

トリモチ爆弾は

見事に爆発し

傭兵を三人ほど巻き込んで

辺りは静かになった

巻き添えを食らった三人は

粘着物に身体の自由を奪われ

警備どころではなくなった

正体こそ見えないが

侵入者の侵入を許したため

祭壇周辺の警戒は

より一層強くなった


── 潜入は簡単では無い、地底帝国の詩。