ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

ダンジョウとテンムス【1-2-1】

少年と少女は

暫く見つめ合ったが

先ほどの閃光が炸裂し

爆風が勢い良く

ふたりを襲った

髪は土ぼこりまみれ

ぎしぎしになった

背後からは巨大なハサミが

右往左往しながら

近づいている

それをのらりくらりと

かわしながら

ふたりの乗ったマシンは

びよんびよん跳ね回った

あまりにも縦横無尽に

跳ね回るものだから

少年は途中吐き気を催して

少し吐いた

少女はそれを確認すると

こっ酷く叱りつけた

流れで名前を聞かれたので

フルネームを伝えようとしたところ

苗字を伝えた辺りで

彼女の名前が矢のように飛んで来た

コックピットで吐くなと

しかしながら

彼女の話している口元は

どこか別の言葉を話しているのか

ぼくの聞いている言葉と口の形が

伴っていないように感じた

寧ろ動いていないようにも見えた

ぼくはダンジョウ

彼女はテンムス

これがぼくらの名前だった

 


── ふたりは各々の名を知る、地底帝国の詩。