ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

ウォーキング・ブレッド Ⅵ

外に出てしまった

男を追いかけて

ぼくもまた

外へ飛び出すと

男はもうすでに

数メートル先を

すたすたと

歩いていた

ぼくは走って追いかけて

やっとのことで

肩を並べて

歩くことが出来た

そう安心していると

またすぐ置いてかれて

しまうような歩幅で歩くので

ぼくは必死こいて歩いた

大きな川沿いの道へ出ると

男は途端に目についたらしい

ベンチへと腰を下ろした

ぼくも同じく腰を下ろして

パンを寄越したのは

一体どういうつもりか

問い詰めた

男は手に持ったパンを齧りながら

静かに笑って言った

 

── 男の放った、言葉とは。