ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

死に向かう半永久機関

生活のための生活に

こころを囚われてしまうと

生活すらままならない

 

生活をするためには

生活をするための

こころの余裕が必要だ

 

しかし悲しいことに

生活をするための

こころの余裕は

生活をするなかで

自然と生まれるものである

 

生活力は

生きる気力であり

生きる気力を生み出すのは

紛れもなく生活力だ

 

生活とは

永久機関として

循環している

 

生活における要素が

ひとつでも欠けたら

生活すらままならなくなる

 

過ぎゆく日々を

楽しめるかは

生活する上で大切なことかもしれない

早寝早起きの弊害

三文も徳する

早起きにだって

損することは

きっとある

 

その一

夜遊びする前に

眠くなること

 

その二

夜景を見る前に

眠くなること

 

その三

自分の他には

誰も起きていないこと

 

夜型生活中心の

この世の中では

朝方生活中心者の

肩身は狭い

 

むしろ健康にいいと

言われていることなのに

ちっとも浸透してないし

何より社会が許さない

 

いっそのこと

月をぶっ壊して

一生朝にしてやろうか

熟練の武器職人

ぼくらは誰しも

何かしらの

武器を持っている

 

大剣でも

大盾でも

はたまた

木のぼっこでも

立派な武器だ

 

たとえ大剣でも

手入れを怠れば

錆びて使い物にならなくなるし

たとえ木のぼっこでも

削って尖らせれば

強い武器になる

 

武器はただひとつだけではなくて

他にも何個か持っているはずだ

 

なんの変哲もない武器でも

他の武器と組み合わせることで

とんでもない力を発揮する

 

人生という

オープンワールドRPGにおいて

名だたる歴戦の勇者たちは

もっぱら

熟練の武器職人

なのかもしれない

現実

借り物の日々が

途端にぼくに

牙を向く

 

幻想的な花畑も

温かい食卓も

楽園をめぐる冒険も

全部ぜんぶ夢だった

 

目の前には

ただ、ただ

だだっ広い荒野が

ひろがっているだけ

 

丹精込めて作った野菜は

全て引っこ抜かれ

湧き水も枯渇している

 

空では鈍い太陽が

厚い雲の切れ間から

迷惑そうに覗いてる

 

かろうじて

わずかな日差しが

地面に降り注ぐ

 

照らされた土には

まだ芽が出たばかりの

豆の木の苗が

ひび割れから顔を出していた

バイキング

目の前の料理は

今から全部

食べ放題らしい

 

焼きたてのパンや

ぐつぐつ煮込んだスープ

新鮮な野菜や果物が

ところ狭しと並んでる

 

ここがどこだか

わからないが

こんな美味しそうな料理に

毒なんて入ってないだろう

 

ぼくはコーンスープが

大好きだから

焼きたてのパンに

つけて食べた

 

野菜とブイヨンの旨み

コーンの食感

パンの舌触りがたまらない

 

食事を味わっていると

たちまちあたりは暗くなり

部屋ごと何者かに

食べられた

こんこんこん

稲荷神社の

きつねさま

 

こんこんこん

とないている

 

やたらこんこん

言ってるから

大丈夫ですか?

と聞いてみた

 

どうやら

インフルエンザに

罹ったみたいです

 

神さまでも

罹ることが

あるんですね

わたしの作った

ワクチン要りますか?

これは強力な

特注品です

 

いいえ、要りません

インフルエンザは

ウソでした

そもそもそれは

ただの水です

わたしがさっき

変えときました

電脳パンと薄いペースト

脳をインターネットへ

アクセスさせて

電脳の海に飛び込む

 

蜘蛛の巣のように

張り巡らされた

ここは誰かの

脳のなか

 

真実にはいつでも

鍵がかけられて

誰にも見られないように

なっている

 

だから我々は

誰かが生み出した

ウソの情報を

そのまた水で薄めて

ペースト状に

塗り伸ばして

パンにつけて食べている

 

パン自体も味気ないから

腹が満たされることは

そうそうない

 

だから人々は

ことあるごとに

パンを食べすぎて

しょっちゅう腹を壊す