2021-09-28 沈んだ都市の話 きみぐらいの歳の頃 わしは沈んだ都市にいた 意味のない争いもなく 明日は必ず来ていた 自分の願った未来も来ていた けれどもそれは贅沢だと 他所から来たものによって 都市は海のなかに 沈められてしまった 明日は必ず来るし 自分の望んだ未来を願うことの どこが贅沢だというのだ 明日も未来もない都市に きみたちは何を望んでいるのだ ── 昔話をすることと、昔に理想を求めることは違う。