ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

沈んだ都市の話

きみぐらいの歳の頃

わしは沈んだ都市にいた

意味のない争いもなく

明日は必ず来ていた

自分の願った未来も来ていた

けれどもそれは贅沢だと

他所から来たものによって

都市は海のなかに

沈められてしまった

明日は必ず来るし

自分の望んだ未来を願うことの

どこが贅沢だというのだ

明日も未来もない都市に

きみたちは何を望んでいるのだ

 

── 昔話をすることと、昔に理想を求めることは違う。