ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

ヴァーチャル

みんな現実に飽きた頃

窓から静かに

ピエロが覗く

どうだ仮想現実へ

行ってみないか

こんな世界より楽しいぞ

風船片手に子どもたちは

気味の悪い

道化の後ろを

何も知らずについてゆく

アメを貰えば

そのまま舐めるし

ガムを貰えば

味がなくなってもまだ

噛み続けている

食べることも

やがて忘れて

気のついた頃には

眠ることさえ

忘れている

あなたに残された

唯一のもの

それは

疲れを知らない

強靭な

何か

 

── さよならさえも、言えないままで。