海岸の近く 山の裏にある 嵐の棲家 洞穴からは 絶えず嵐が 吹きつける 敷き詰められた 砂浜も ことあるごとに 捲り取られ そこだけ岩肌が 露出している 止める方法は ただひとつ 山に潜む 竜の首を 討ち取ること ── 涌いて出てくるわけはない、必ず根源は何…

海上で待ち構える 雷起こしの でんでん太鼓 ひとたびどんと 打ちつければ 雨雲伝って どどんと落ちる どどんと落ちた 雷は 地面を伝って 地雷のごとく ぐらぐら揺らす ── なんでも鬼の仕業、これは悪魔の仕業。

天から叩きつける 無数の雨粒 踊る水滴が 透明なキャンバスを 軽やかに飛び跳ねる 部屋の窓は 美術館に飾られる 一作品の額縁だ 仕切りに動く 絵画が見られるのは こんな日だけだ ── 憂鬱な日を、少しでも楽しく。