ヒトリゴ島

生きとし生ける、ひとりごと。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

大きすぎた代償

自身の力量以上の 行いをしてしまうと 確実に 身の破滅に転ずる 破滅を経験した肉体は こころが最初に 切り離されて 次に内臓が 機能しなくなる 各臓器は 元いた星に 帰ろうとする 身体のなかは 空っぽになり 入れものにさえ 戻れなくなる ── 身体とこころが…

ちらつき

余計な光景が 瞼の裏側で ちらついている 蛍光灯に群がる 蛾の大群のように 払っても払っても 涌いてくる もうこのまま 逃げられないのか わたしはただ 楽しかった夢を もう一度だけ 見たいだけなのに ── 瞬きさえ、羽音がする。

無表情の展示品

この美術館に 飾ってある 絵の人間の表情は 見渡す限り 無表情である その表情からは 一体何を考えているのか 何がしたいのか そんなことは 微塵も読み取れない ただ絵のなかで ポーズをとる仕事を 淡々とこなしているようだ ── 芸術品さえ、歯車の一部。

真実を見る瞳

約束を破ったあなたは 真実を見る瞳を 与えられた 世の中には 決して良い者 ばかりでないことを 今回ばかりは 痛感させられたのである ── ただし、約束を破って人を悲しませることだけはしないで欲しい。

幻魔の睫毛

あなたの 守った約束は 小指をもらう 契約だった 赤い糸で括られた 小指は軽々と 手から離れ 幻魔の睫毛として 生まれ変わるのだった ── 約束を破って、良かったこともままある。

指切り幻魔

それは小指を 突き出して 指切りしろと 迫ってくる なんの約束か 分からないまま わたしも小指を 突き出して それの小指に 絡めて唱える ── 約束を破る : 真実を見る瞳へ、約束を果たす : 幻魔の睫毛へ。

手繰り寄せ

必死をこいて 両手をもがき あれやこれを 手繰り寄せている 夢のガラクタだの 自堕落な生活だの 僅かな部品も 確認するが 今のところは めぼしいものは 見当たらない けれども常に 手は動いている 寝ている間も 手は動いている ── もうすぐ、掴めると信じて。

不満我慢

吐き出したい思いを 必死に堪えて 洞窟のなかを 彷徨い歩く 岩盤には 爪で引っ掻いた文字が ところ狭しと 書かれている 不満は身体に 良くないが 我慢はもっと 身体に悪い でもどうしようもないんだ まだだめだって ぼくが言うから ── ぼくが、わたしを止め…

ブラックホールの誘い

腹の奥底から ブラックホールが 手招きしている ただならぬ存在感と 異彩を放って 雷さえも 身震いをして 今にも静電気に なりそうだ この誘いには 誰が応えて くれるのだろう ── 喉から、手が出てきそうなほどの。

不冷気 - ブレーキ -

クールダウンした 頭を上げて 動脈にブレーキを かけている 逆流した血液は 心臓に還り また戻ってくる 冷たくなった わたしの手には 青白い筋が 楽しそうに 踊っている 足元のブレーキは 踏み外したまま ── 感覚は、時に人を鈍らせる。

光学霊器

いくら頭が良くっても その知恵を誰かのために 使えぬならば 宝の持ち腐れも 甚だしい 光学霊器 光学霊器 呪いの呪文 自尊心を低下するべく 編み出された 呪いの呪言 ── 中身が空っぽでは、どうにもならない。

無礼人 - ブレイド -

こころの壁を 飛び越えて ずかずか わたしの部屋に 入ってくる しかも決めては 土足ときた 玄関なんて なんのその ところ構わぬ 無礼なやつだ ── プライベートも、あったもんじゃない。

紅い宝箱

マグマのように 灼熱の熱さだ 触れようにも 触れられない しかしながら 鍵の部分は 不思議と触れる くらいの温度である なかを開けると この星の 血管へと繋がる 階段が伸びていた ── あなたのこころが、音を立てて燃えたなら。

蒼い宝箱

触ってみると ひんやり冷たい 鍵を開くと 冷気が漏れて あなたは 氷固まってしまった 動かぬ瞳には 雪に覆われた 未来の世界が 寂しげに 拡がっていた ── 悲しい未来を、選んでしまった。

ふたつの宝箱

あなたの前に ふたつの宝箱がある 右にあるのは 沸き立つ血のような 真っ赤な宝箱 左にあるのは 凍てつく氷のような 真っ青な宝箱 あなたはどちらを 選ぶだろうか ── 左 : 蒼い宝箱へ、右 : 紅い宝箱へ。

魔法陣の丘

街の外れの 森を抜けると いつの時代の物かも 何に使うのかも 分からない 魔法陣の描かれた 丘がある 夜な夜なそこへ 訪れてみると 秋の魔女が 新しい病気を 生み出す為に ひとり儀式に励んでいる 努力の甲斐虚しく いつも魔法陣は 雪に埋もれてしまう ── し…

バズソーパズル

縦横無尽に ピザ生地を切る 丸鋸からは 火花が出ている 生地の表面を覆う チーズの沼は 飛び出る火花で こんがり焦げ目が ついている サラミで出来た 蓮の葉っぱは そんな焦げ目の上で 決まり悪そうに 固まっている そうこうしているうちに 永遠に完成するこ…

ヒバナチル

脳を動かす モーターからは 焼けつくような 焦げ臭さと 色鮮やかな 火花が散っている それは 春の桜のようで 夏の太陽のようで 秋の落ち葉にも 冬の雪にも似ている ── いかなるときにも、フル回転。

逆らわない

人の流れに 身を任せても 利益は少ないが 自然の流れに逆らえば 却って痛い目を見る 人の身体は 自然で成り立って いるものだから そこに歯向かえば 不利益を被るのは 当然のことだ 日々の身体の 使い方も 自然に身を委ねることで 自由度が増すのである 自然…

平静を保つ

高ぶる感情 揺らぐ心情 どれもいざというとき 役には立たぬ 頭と身体の接続に 異常を来たす のみである だから いついかなるときも 平静を保って 生活をすれば 何事にも動じず 何事にも揺らがない ── 物事が移ろうことを、知っていれば。

期待外れ

期待が大きければ 大きいほど 肩透かしを食らったときの 損害は大きい こころの崩れる 音がする けれども 何度もそういった 経験をすると 大体に通ったものも 出てくるものだ 何事も過剰なのは 良くないものだ ── 度が過ぎると、痛い目を見る。

古城の唄

錆びついた 鎧を纏って 主人の帰りを 待っている 門の前に立つ 騎士の木乃伊 剣は折れ 盾は突き抜け 脚は今にも 崩れ落ちそうだが やっとのことで 立っている 主人は静かに 裏門から 入って行った ── 仕える人間も、選んだ方がいい。

秋の魔女

木枯らしを 吹かせながら 老いた木の 幹のような鼻の 魔女が歩いている 今まさに 箒に跨って 飛ぼうとしている 最中だ 風に舞った 落ち葉の群れは 彼女の行先の 道標になっている 空に架かった 虹の橋のように ── 病気の魔法を、放って帰ってゆく。

蟹歩きの枯葉

道端を歩く 蟹を見つけた それは ヤドカリにも見える かさかさかさかさと 音を立てて コンクリートに 這いつくばる 今にも風に 飛ばされそうだが 必死にしがみついている 側では魔女が 竹箒を唸らせて ぐんぐん道を 掃いている ── 魔法で動く、不思議な枯葉。

見えない影

グラウンドに 薄く貼り付く 見えない影が 視えている 真昼の街灯に 照らされて 寂しくひとりで 立っている ひとりでに動いた ブランコは まだ遊び足りない 証拠かも知れない ── 知らないふりも、誰かのためになる。

電磁波の可視化

おでこの奥底で テレビのついた 音がする どんなに厚い 壁を隔てても ぼくにはそれが 感じて取れる 見えるというより 視えている 誰かの脳が 壊れる音がする ── 科学的根拠など、もはや通用しない。

非言語化メッセージ

感じ取れたり 考えていたり それはすべてが 言語化出来る ものではない なのでたまに 言葉というものが 不自由に感じる ときがある あなた方の脳には 送信しているのだけれど ── 言葉で表せないもの、言葉の限界を超えたもの。

スコール

言葉の雨は いつでも突然 降って来る やさしい言葉も 棘のある言葉も 空気の虚空の 合間を縫って それは こころに突き刺さり 痛みを感じることも 温かさを感じることも ── 再起不能になるか、動く為の原動力になるか。

インプット

目で見たものだけでなく 手でさわって 耳で聞いたこと 鼻で覚えたこと 舌で転がしたこと そして こころで感じたことは すべてあなたの 経験になる それをどう昇華するかは 調理人である あなた次第だ ── 無限の可能性は、更なる可能性を秘めている。

降って来る

雨や 雪や 霰や 霙 空からたくさん 降って来る 脳みそのなかの 水溜りにも いろんなものが 降って来る それは使う人次第では 毒にも薬にも 成り変わる ── 渦巻く宇宙の、嵐のなかから。